ランドリールームで後悔しない!家事動線・広さ別の間取りと収納アイデア集
「毎日の洗濯、もっと楽にならないかな…」 「雨の日の室内干しでリビングがごちゃごちゃするのはもう嫌!」
注文住宅やリノベーションを考えるとき、多くの人が抱える洗濯の悩み。その悩みを一気に解決してくれるのが、洗濯のすべてを一部屋で完結できる「ランドリールーム」です。
この記事では、これから家づくりを始めるあなたが「理想のランドリールーム」を実現できるよう、後悔しないための間取りの考え方、広さ別の実例、おしゃれで機能的な収納アイデアまで、専門家の視点で徹底解説します。
この記事を読めば、あなたのライフスタイルにぴったりのランドリールームの具体的なイメージが湧き、家づくりの計画がもっと楽しくなるはずです!
ランドリールームとは?メリット・デメリット

まずは、ランドリールームがどのような空間なのか、基本的な知識から確認していきましょう。メリットだけでなく、デメリットや後悔しがちなポイントも知っておくことが、成功への第一歩です。
洗濯家事を一箇所で完結できる空間
ランドリールームとは、洗濯に関する一連の作業である「洗う・干す・たたむ・しまう」を、一つの部屋(空間)で完結できるように設計された空間のことです。「洗濯室」や「ランドリースペース」とも呼ばれます。
洗濯機を置くだけでなく、室内干しスペースや、洗濯物をたたむための作業台、洗剤やタオルをしまう収納棚などを集約させることで、洗濯動線を劇的に短縮し、家事の負担を軽減することを目的としています。
家事効率が劇的に向上する4つのメリット
ランドリールームを設けることで、日々の暮らしに多くのメリットが生まれます。
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①洗濯動線が最短になる
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重い洗濯物を持って階段を上り下りしたり、部屋を移動したりする必要がなくなります。「洗う→干す→たたむ→しまう」がその場で完結するため、時間と体力の消耗を大幅に削減できます。
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②天候や時間を気にせず洗濯できる
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室内干しが前提なので、雨や雪の日はもちろん、花粉やPM2.5が気になる季節でも安心して洗濯物を干せます。共働きで夜にしか洗濯できないご家庭にも最適です。
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③リビングなどの生活空間がスッキリする
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リビングに室内干し用のハンガーが並ぶ光景は、どうしても生活感が出てしまいます。ランドリールームがあれば、来客時でも慌てて洗濯物を取り込む必要がありません。
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④洗濯用品をまとめて収納できる
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洗剤や柔軟剤のストック、ハンガー、洗濯ネット、アイロンなど、意外とかさばる洗濯グッズをまとめて収納できます。必要なものが一箇所に集まることで、作業効率がさらにアップします。
設置前に知るべきデメリットと後悔ポイント

魅力的なランドリールームですが、計画段階で考慮すべきデメリットも存在します。
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◆建築コストとスペースが必要になる
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当然ながら、一部屋増やすことになるため、その分の建築費用がかかります。また、他の居住スペース(リビングや寝室など)を圧迫する可能性も考慮しなければなりません。
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◆湿気やカビ対策が必須
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洗濯物を干す空間なので、湿気がこもりやすくなります。窓の設置や換気扇、除湿機の導入など、十分な湿気対策をしないとカビの原因になり、後悔につながります。
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◆生活音が気になる場合がある
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洗濯機や乾燥機の運転音、除湿機の作動音などが意外と響くことがあります。寝室や書斎の隣に配置するのは避けるなど、間取りの工夫が必要です。
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◆動線計画を誤ると逆に不便になる
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家の端など、他の部屋との連携が悪い場所に作ってしまうと、かえって動線が長くなり不便に感じることも。家全体の家事動線の中で最適な位置を考えることが重要です。
ランドリールームのよくある後悔と対策

最後に、ランドリールームを作ってから「こうすれば良かった…」となりがちな後悔ポイントと、それを防ぐための対策をまとめました。
湿気・カビを防ぐための換気・採光計画
- 「窓を小さくしたら、昼間でも暗くてジメジメする」「換気扇だけではカビが生えてしまった」と後悔することがあるかもしれません。
- 【対策】: 採光のための窓と、換気のための換気扇の両方を計画しましょう。壁材に、湿度を調整する機能のあるエコカラットなどの調湿建材を採用するのも効果的です。
作業効率を落とす狭さ・暗さの解消法
- 「通路が狭くて、洗濯カゴを持って通るのが大変」「夜に作業すると手元が暗くて不便」という事が実際に起こるかもしれません。
- 【対策】: 人がスムーズに通るためには最低でも60cm以上の通路幅を確保しましょう。また、部屋全体を照らす照明だけでなく、作業台の上や収納内部を照らす手元灯を設置すると、作業効率が格段にアップします。
コンセントの位置と不足で後悔しない計画
- 実際に住み始めてから、「アイロンを使いたい場所にコンセントがない」「除湿機とサーキュレーターを同時に使えない」など必要な時にストレスを感じることがあるかもしれません。
- 【対策】: ランドリールームで使う可能性のある家電(アイロン、除湿機、サーキュレーター、扇風機、充電式掃除機など)をリストアップし、それに応じた数と位置にコンセントを計画しましょう。少し多めに設置しておくと安心です。
洗濯機の騒音・振動への対策
- 「夜に洗濯機を回すと、隣の寝室まで音が響いて眠れない」など、実際に住んでみてからじゃないと分からないこともあります。
- 【対策】: 間取りを考える際に、寝室や書斎など静かに過ごしたい部屋の隣は避けるのが基本です。また、洗濯機の下に防振ゴムを敷いたり、壁に遮音シートを入れたりするなどの対策も有効です。
広さ別の間取り実例とプランニング

「ランドリールームって、実際どのくらいの広さが必要なの?」これは非常によくある質問です。ここでは、代表的な広さごとに、どのようなことができるのかを間取りのイメージとともに解説します。
省スペースで実現する2畳の間取り実例
2畳(約3.3㎡)は、ランドリールームを設置する場合の現実的な最小サイズと言えるでしょう。スペースは限られますが、工夫次第で十分に機能的な空間を作ることが可能です。
- 【レイアウトのポイント】 洗濯機と衣類乾燥機を縦に配置したり、ドラム式洗濯乾燥機を選んだりすることでスペースを確保します。壁面に昇降式の物干し竿やハンガーパイプを設置すれば、洗濯物を干すスペースも作れます。
- ここでは「洗う」「干す」作業が中心になります。たたむ作業は、小さなカウンターを設けるか、他の部屋で行うことを想定すると良いでしょう。収納は壁面を最大限に活用するのがコツです。
最も人気の標準サイズ3畳の間取り実例
3畳(約5.0㎡)は、作業性と収納力のバランスが良く、最も人気のある広さです。多くの方がイメージする「理想のランドリールーム」に近い形を実現できます。
- 【レイアウトのポイント】 洗濯機と並べて、洗濯物をたたんだりアイロンがけをしたりするための作業台(カウンター)を設置する余裕が生まれます。カウンター下を収納スペースとして活用することも可能です。
- ここでは「洗う」「干す」「たたむ・アイロンがけ」までの一連の作業をスムーズに行えます。洗剤ストックやタオル類をしまうための収納棚も十分に確保できる広さです。
作業も収納も快適な4畳以上の間取り実例
4畳以上(約6.6㎡~)の広さがあれば、ランドリールームはさらに多機能な空間へと進化します。
- 【レイアウトのポイント】大型の収納棚やスロップシンク(深型の流し)を設置したり、ファミリークローゼットを併設したりと、プランニングの自由度が格段に上がります。
- 洗濯に関するすべての作業はもちろん、家族全員の衣類を管理するファミリークローゼットを兼ねることも可能です。アイロンがけ専用のスペースを設けたり、趣味の部屋として活用したりと、ライフスタイルに合わせた多目的な使い方ができます。
家事動線で考える間取りパターン

ランドリールームの使いやすさは、他の部屋との位置関係、つまり「家事動線」によって大きく左右されます。ここでは代表的な4つの間取りパターンをご紹介します。
洗面所とランドリールームを分ける間取り
脱衣所を兼ねる洗面所とは別に、独立したランドリールームを設けるパターンです。
- ◎メリット… 家族が入浴中でも気にせず洗濯作業ができます。また、来客時に洗面所を案内する際、洗濯物を見られる心配がありません。
- ◆デメリット… 洗面所とランドリールームが離れていると、脱いだ服を洗濯機まで運ぶ手間が発生します。隣接させるなど、動線が分断されない工夫が必要です。
洗面脱衣室と一体化させる間取り
洗面・脱衣・洗濯の機能を一つの空間にまとめる、最も一般的なパターンです。
- ◎メリット… 「脱ぐ→洗う」の動線が非常にスムーズです。スペースを効率的に使えるため、限られた面積でも実現しやすいのが魅力です。
- ◆デメリット… 誰かが入浴していると、他の家族が洗面所やランドリースペースを使いにくくなる可能性があります。家族の人数やライフスタイルによっては注意が必要です。
ファミリークローゼット隣接の間取り
乾いた衣類をすぐにしまえる、家事効率を極めた「最強」とも言える間取りです。
- ◎メリット… 「干す→たたむ→しまう」の動線が最短になります。たたんだ衣類を各部屋のクローゼットまで運ぶ手間が一切なくなるため、家事の時短効果は絶大です。
- ◆デメリット… 実現するには、ある程度の広いスペースと、家全体の設計段階からの綿密な計画が必要です。
キッチンと連携する回遊動線の間取り
キッチンとランドリールームを繋げ、家の中をぐるりと回れる「回遊動線」を作る間取りです。
- ◎メリット… 料理をしながら洗濯をするなど、複数の家事を同時進行しやすいのが最大の利点です。行き止まりがないため、家族がすれ違う際のストレスも軽減されます。
- ◆デメリット… 動線を確保するために通路部分が多くなり、収納スペースが減ってしまう可能性があります。生活の中心に水回りがくるため、音や湿気への配慮がより重要になります。
おしゃれで機能的な収納アイデア

使いやすいランドリールームの鍵を握るのが「収納」です。ここでは、限られたスペースを最大限に活用するための収納アイデアをご紹介します。
可動棚で実現する効率的な収納術
収納の基本は「可動棚」です。棚の高さを自由に変えられるため、洗剤ボトルの高さや収納ボックスのサイズに合わせて、デッドスペースなく収納できます。
- 🚩ポイント・・ 棚板の奥行きは、収納したいモノに合わせて選びましょう。タオルなら30cm程度、衣装ケースなら40cm以上など、置きたいものから逆算して計画するのがおすすめです。
ハンガーパイプと壁面収納の活用法

ハンガーパイプは、室内干しだけでなく収納にも大活躍します。
- 🚩ポイント ・・アイロンがけが終わったシャツを一時的に掛けておいたり、乾いた服をそのまま掛けて収納したりと、用途別に複数のハンガーパイプを高さや位置を変えて設置すると非常に便利です。有孔ボードなどの壁面収納を取り入れれば、細々した掃除グッズもおしゃれに収納できます

洗濯カゴやアイロン台のスマートな収納
意外と場所を取る洗濯カゴやアイロン台は、定位置を決めておくことがスッキリ見せるコツです。
- 🚩ポイント ・・作業台の下にキャスター付きのランドリーワゴンがぴったり収まるスペースを作ったり、壁に立てかけられるスリムなアイロン台を選んだりするのがおすすめです。最初から収納場所を計画に組み込んでおきましょう。
導入を検討したい便利な設備

ランドリールームの快適性をさらに高める、おすすめの設備をご紹介します。
室内干し設備の選び方とおすすめ製品
室内干し設備には様々な種類があります。ライフスタイルや設置場所に合わせて選びましょう。
- 【昇降式(ホスクリーンなど)】 使わないときは天井にスッキリ収納できる人気のタイプ。操作も簡単で、見た目を損ないません。
- 【壁付けタイプ】 窓際など、日当たりや風通しの良い壁に設置します。使わないときは折りたためるものが多く、省スペースです。
- 【ワイヤータイプ】 必要なときだけワイヤーを伸ばして使うスタイリッシュなタイプ。空間を広く使いたい場合におすすめです。
作業台カウンターの最適な高さと素材
洗濯物をたたんだり、アイロンをかけたりする作業台は、使いやすい高さと素材選びが重要です。
- 【最適な高さ】 一般的に「身長 ÷ 2 + 5cm」が体に負担のかかりにくい高さの目安と言われています。例えば身長160cmの方なら、85cm程度が使いやすい高さになります。
- 【おすすめの素材】 湿気に強く、掃除がしやすいメラミン化粧板や人工大理石が人気です。見た目もおしゃれで、耐久性にも優れています。
スロップシンクの必要性と活用シーン
スロップシンクとは、泥汚れのついた衣類や靴を洗ったり、つけ置き洗いをしたりするのに便利な、深さのある大型の流しのことです。
- こんな人におすすめ :「子供のユニフォームや靴を洗う機会が多い」「掃除で使った雑巾を気兼ねなく洗いたい」という方には、設置する価値が非常に高い設備です。お湯が出るようにしておくと、冬場の作業や油汚れを落とす際に重宝します。
湿気対策に必須の換気扇・除湿機
ランドリールームで最も後悔が多いのが湿気の問題です。カビの発生を防ぎ、洗濯物を効率よく乾かすために、換気設備は必ず導入しましょう。
- 必須の3点セット
- ①窓: 自然の光と風を取り込むために重要です。可能であれば、風の通り道ができるよう2方向に設置するのが理想です。
- ②換気扇: 湿った空気を強制的に排出します。24時間換気システムと連動させるのが基本です。
- ③除湿機・サーキュレーター: 梅雨時期や冬場など、洗濯物が乾きにくい季節の必需品です。除湿機やサーキュレーターを使うためのコンセントも忘れずに計画しましょう。
まとめ

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ランドリールームは、ただ洗濯をするだけの場所ではありません。毎日の家事の負担を劇的に減らし、暮らしにゆとりを生み出してくれる可能性を秘めた、とても価値のある空間です。
後悔しないランドリールームを作るための最も重要なポイントは、「自分たちのライフスタイルに合った間取り、広さ、設備をじっくり考えること」です。
- ・洗濯はいつ、誰が、どのように行うか?
- ・どこに収納するのが一番便利か?
- ・他の家事との連携はどうするか?
この記事でご紹介した間取りやアイデアを参考に、ぜひご家族で話し合ってみてください。あなたの家づくりが、より豊かで楽しいものになることを心から願っています。





